条文テーマ: 会社法第107条第2項第1号・第139条(株式の譲渡制限)
ひなた
定款に『当会社の株式を譲渡するには、承認を受けなければならない』という条文を入れると聞きました。これってなぜ全員が入れているんですか?承認するのは誰にするのがいいんでしょう?
源さん
これを入れておかないと、勝手に株を見ず知らずの他人に売られて、ある日突然怪しい奴が『わしもこの会社の株主だ!経営を見せろ!』って乗り込んでくるんだ。会社を守るための絶対の防波堤だな!
真壁
まさに源さんの言う通り、会社の乗っ取りを防ぐ最重要条項です!承認機関を『株主総会』にするか『代表取締役』にするかで実務の手間が変わります。合同会社との決定的な違いと合わせて解説します!
1. 定款の文言サンプルと非公開会社のメリット
会社法上、すべての株式に譲渡制限が付いている会社を「非公開会社(株式譲渡制限会社)」と呼びます。日本の中小企業の99%以上がこの形式を採用しています。
【定款の文言サンプル】
▼ 選択肢A(株主総会承認:中小企業の標準)
(株式の譲渡制限)
第〇条 当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を要する。
▼ 選択肢B(代表取締役承認:スピーディーな意思決定)
(株式の譲渡制限)
第〇条 当会社の株式を譲渡により取得するには、代表取締役の承認を要する。
▼ 選択肢C(取締役会設置会社の場合)
(株式の譲渡制限)
第〇条 当会社の株式を譲渡により取得するには、取締役会の承認を要する。
譲渡制限を付ける最大のメリット
- 見知らぬ第三者や敵対的勢力への株式流出を100%遮断できる
- 取締役の任期を最長10年まで伸長できる(譲渡制限がない公開会社は2年固定)
- 取締役会や監査役を置かなくてもよい(1人取締役で運営可能)
2. 【選択基準】承認機関は「株主総会」vs「代表取締役」どっち?
パターンA:「株主総会の承認」を選ぶべきケース(★中小企業の王道)
- 選ぶ理由:
株式の譲渡は会社の所有権そのものの移動です。最終決定権を会社の最高意思決定機関である「株主総会」に持たせることで、会社の支配権を既存株主全員で厳格にコントロールできます。 - こんな会社に最適:
一般的な中小企業、家族経営、複数の共同出資者がいる会社。
パターンB:「代表取締役の承認」を選ぶべきケース
- 選ぶ理由:
代表取締役社長が1人で株式の譲渡を承認できるため、わざわざ株主総会を招集して決議する手間を省き、スピーディーに承認手続きを完了できます。 - 注意点:
社長以外の株主がいる場合、社長の独断で株式譲渡を認められてしまうリスクがあるため、社長=100%株主の1人会社などでよく使われます。
3. 合同会社(LLC)の場合はどうなる?
合同会社では、株式ではなく「出資持分」となりますが、譲渡のルールは株式会社よりもさらに厳格です。
結論:合同会社は法律上、原則として「総社員(出資者全員)の同意」が必要!
会社法第585条により、合同会社の社員がその持分を他人に譲渡するには、他の社員全員の同意が必須と定められています。
- 定款での柔軟なアレンジ:
合同会社では、定款に定めることで「業務執行社員の過半数の同意で譲渡できる」など、要件を緩和する規定を置くことが可能です。
ひなた
譲渡制限をつけることで、役員任期を10年に延ばせたり取締役1人でもOKになる特例が使えるんですね!承認機関は一番確実な『株主総会の承認』にしておきます!
真壁
非常に堅実で素晴らしい選択です!これで不審な第三者に株が渡る心配はありません。次は万が一の相続に備える【売渡請求条項】を見ていきましょう!