条文テーマ: 会社法第37条・第113条(発行可能株式総数)
ひなた
『発行可能株式総数』って、会社設立時に実際に発行する株の数とは違うんですか?何株に設定すればいいのか全然イメージが湧きません…!
源さん
発行可能株式総数ってのはな、『この会社は将来ここまで株を刷って増やしてもいいですよ』っていう枠(上限)のことだ。枠を小さくしすぎると、後から増資するときに面倒なことになるぞ!
真壁
源さんの例えがまさに的確です!公開会社(上場企業など)では『発行済株式数の4倍以内』という法律の縛りがありますが、非公開会社(譲渡制限会社)にはその縛りがありません。何倍にするのが黄金比率か解説します!
1. 定款の文言サンプルと基本概念
発行可能株式総数とは、会社が定款変更手続きなしで発行できる株式の最大枠のことです。
【定款の文言サンプル】
(発行可能株式総数)
第〇条 当会社の発行可能株式総数は、〇〇株とする。
- 設立時発行株式数: 会社設立時に実際に株主に出資してもらって発行する株数(例:1株1万円で100株 = 資本金100万円)。
- 発行可能株式総数: 将来の増資や新株発行を見越してあらかじめ設定しておく最大可能枠(例:1,000株〜10,000株)。
2. 【選択基準】発行済株式数の何倍に設定すべきか?
法律上のルール:公開会社 vs 非公開会社
- 公開会社(株式の譲渡制限がない会社):
既存株主の権利保護のため、発行可能株式総数は「発行済株式総数の4倍」を超えることができません(会社法第113条第3項)。 - 非公開会社(株式譲渡制限会社=中小企業のほぼ全社):
4倍ルールの制限が一切ありません! 発行済が100株でも、発行可能株式総数を1,000株(10倍)や10,000株(100倍)に自由に設定できます。
パターンA:発行済の「10倍〜100倍」程度に広げておく(★推奨)
中小企業やスタートアップの場合、設立時発行株式数の10倍〜100倍程度に設定しておくのがもっとも一般的で安全です。
メリット:
将来、事業資金を集めるために新株を発行して増資したり、共同出資者を迎え入れたりする際、定款変更(登録免許税3万円)をすることなく、取締役の決定だけで機動的に新株を発行できます。
パターンB:発行済と「同数(1倍)」または「数倍」に絞るケース
- 向いているケース:
将来も絶対に外部から出資を受けず、自分1人だけで会社を100%支配し続けたい場合。勝手な新株発行を完全に防ぎたい場合。 - デメリット:
1株でも増資したい場合に必ず定款変更が必要になり、余計な手間と登録免許税(3万円)がかかります。
3. 合同会社(LLC)の場合はどうなる?
合同会社を検討している方にとって、ここは非常にシンプルなポイントです。
結論:合同会社には「株式」が存在しないため、規定自体が不要!
合同会社は「株式」ではなく「社員の出資(持分)」で成り立っています。
そのため、発行可能株式総数という概念自体が存在せず、定款に書く必要は一切ありません(規定不要)。
資本金を増やしたいときは、社員の同意で新たな出資を受け入れるだけでいつでも増資が可能です。
ひなた
中小企業なら4倍の縛りがなくて、10倍〜100倍に自由に設定できるんですね!将来の増資で余計な登記費用がかからないよう、少し余裕を持った株数にしておきます!
真壁
それがベストプラクティスです!例えば『設立時に1株1万円で100株発行、発行可能株式総数は10,000株』としておけば、将来の資金調達にも柔軟に対応できますよ。